災難、風邪、が笹と杉さる(サッサト、スギサル)笹祭


 天童市道満にある春日神社の笹祭り (旧暦一月十九日)は、俗に風邪よけ祭りと もいわれ、季節の変わり目に息災を祈る大勢の参拝客でにぎわう。

  社は、永線二年(1559)、京都・藤原家一門の後藤崇右衛門という神官の創 建とされ、祭神は「天児屋根命」のほか、 三神をまつる。

 祭りは、江戸時代末期の山形藩主・水野忠精が、城内に悪性の風邪が流行した際、家臣に命じて当神社に疫病退散を祈願。境内のササとスギの葉を持ち帰り、おはらいを したところ、流行が治まったという逸話 から始まったと伝えられる。

  現在もそのササとスギのいわれを継 承。「病はサッサとスギ去れ」という語呂合わせの意味を込め、祭りの前日に三百 五十束を作り、お札と一緒に縁起ものと して参拝客に配られる。
 
 朝から露店が並ぶ参道は、御利益を願う善 男善女が行き交い、神 殿の鈴の音が絶え間な く鳴り響く。拝殿には ろうそくの炎が揺ら ぎ、太鼓の音がとどろ く。神主の祝詞とおは らいを受けるお年寄り たちと一緒に、マスク をつけた若い女性や子供の姿も見られ、正座 して神妙に合掌。帰りにはお神酒などが 振る舞われ、参拝客はすがすがしい気持 ちで、早春の日差しの参道を下る。

 宮司の後藤寿夫さんは、「戦前は、県外 からも大挙してお参りに訪れ、境内では サーカスなども開催されるなど、大変な にぎわいを見せた時代もある。今日も、道満の春日さまと、親しまれ、祭りを待 ち望んでいる人々も多い。これからも継続していきたい」と語る。
           ● 山形新聞社刊『自然とくらし 四季やまがた』より



榊を受けて拝礼する人
参拝者を杉、笹で清める
 
赤飯を家族に持ち帰る
無病息災  獅子がしら
90歳の参拝者
宮司の笛

 

 

境内で毎年行われるお斎燈              子供達は餅を焼くのが楽しみ